【書評】『問題解決』高田貴久(著)、岩澤智之(著)
問題解決が苦手な人ほど、読んでほしい一冊
仕事でも生活でも、日々いろんな「問題」にぶつかる。でも、いざ解決しようとすると、何から手をつけていいか分からなくなってしまう。そんな経験、ありませんか?
高田貴久さんの『問題解決』は、そんなモヤモヤをスッと整理してくれる一冊です。
この本の特徴は、問題の「構造」を可視化しながら、順を追って一つずつクリアにしていく、シンプルで再現性の高い思考プロセスにあります。
概要:問題を“構造”でとらえるための実践書
著者の高田貴久さんは、問題解決・思考法のプロフェッショナル。ロジカルシンキングの応用というよりも、「問題とは何か?」という問いに真正面から取り組んでいます。
ポイントは、「問題には構造がある」と言い切っている点。
つまり、感情や混乱でごちゃごちゃに見える状況でも、問題の要素(現象・要因・目的など)を分解すれば、解決の筋道は必ず見えるというわけです。
印象に残ったポイント3つ
①「問題」とは、“現状”と“あるべき姿”のギャップ
この基本に立ち返ることが、意外とできていない。
つい、「課題」と「対策」ばかりを考えてしまいがち。でも著者は、まず“問題とは何か”を定義することこそがスタートラインだと言います。
読みながら、自分の仕事の中で「問題」と呼んでいるものの多くが、実は“対症療法”で済ませていたな…と反省しました。
②「問題構造図」でモヤモヤを整理する
「現象」「要因」「真因」「目的」などを図にして整理していく手法が紹介されています。
これが非常に使いやすい。
何かに困ったとき、紙にサッとこの図を書くだけで、「ああ、自分はこの部分を混同していたな」と気づけるようになります。
思考の見える化って、やっぱり大事です。
③「行き詰まり」は構造を見直すサイン
問題解決が進まないときは、解決策が悪いのではなく、そもそも構造が間違っているのかもしれないという視点。
この一言にハッとさせられました。
たとえば、現場の不満が噴出しているとき、「マニュアルがないのが原因だ」と思ってマニュアルを整備する。でも実際は「現場の裁量がないこと」や「業務の優先順位が曖昧なこと」が根本にある場合もある。
この本を読んでいると、表面だけを見て動く危うさに自然と気づかされます。
自分にどう活かせそうか
僕自身、社内の業務改善に関わることが多い中で、「何が問題なのか、実は誰もはっきり言えていない」状態に直面することがよくあります。
そんな時、この本で紹介されていた「問題構造図」を活用して、全体像をメンバーと一緒に“見える化”するところから始めたいと思いました。
問題を議論するとき、「それって現象?それとも要因?」と問いかけるだけでも、会話の質がぐっと変わりそうです。
まとめ:問題が多い人ほど、一度立ち止まって読んでほしい
高田さんの『問題解決』は、問題に悩むすべてのビジネスパーソンにおすすめの一冊です。
やみくもに動く前に、「構造を見てから動く」という習慣が身につけば、日常のイライラや行き詰まりもだいぶ軽くなるのでは、と思います。
問題解決とは、焦って何かをすることじゃなく、「問題とは何かを考えること」なんだなと、改めて実感しました。
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